2026年9月に開幕した第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)では、eスポーツが前回の杭州大会に続いて正式なメダル競技として実施されました。
今大会は前回の7タイトルを上回る11種目13タイトルで、メダルをかけた試合が行われました。
普段の大会や配信で見慣れたゲームでも、アジア大会では「アジア大会版(Asian Games Version)」という専用バージョンや、独自の対戦形式で行われるタイトルがあります。
この記事では、特別仕様が採用される背景、通常版との違い、試合への影響を整理します。
アジア大会でeスポーツに特別仕様(アジア大会版)が採用される理由
アジア大会でeスポーツに特別仕様(アジア大会版)が採用される理由について紹介します。
アジア大会は、一般的なeスポーツ大会とは異なり、国際総合スポーツ大会の一競技としてeスポーツを実施するという特徴があります。
そのため、ゲーム会社が通常提供しているゲームモードやプロリーグの競技ルールを、そのまま使用するのではなく、大会の競技環境や公平性に合わせて仕様を調整する場合があります。
例えば、杭州アジア大会の「PUBG MOBILE Asian Games Version」は、PUBG MOBILEをベースにしながらも、通常のバトルロイヤルとは異なる競技として設計されました。
AESF(アジア・エレクトロニック・スポーツ・フェデレーション)は、専用バージョンについて、現代のスポーツ競技の要素を取り入れ、チームワークや反応力、判断力などを競う形式として説明しています。
つまり「アジア大会版」は、単なるゲームのアップデート版ではなく、国際的なスポーツ大会で競技として成立させるための専用設計と考えると分かりやすいでしょう。
通常版と何が違う?特別仕様ルールの具体的な変更点(PUBG Mobileなど)
通常版と何が違う?特別仕様ルールの具体的な変更点について紹介します。
その中でも分かりやすい例がPUBG MOBILEです。
2022年杭州大会では通常のバトルロイヤルとは大きく異なる形式
杭州大会のPUBG MOBILE Asian Games Versionでは、通常版のように多数の選手がマップに降下して最後まで生き残る形式ではありませんでした。
AESFの説明によると、4人1組のチームが車両を使ってコースを進み、途中に設置されたチェックポイントでターゲットを射撃するという形式でした。
複数のチームが同時に競技し、射撃によって必要なスコアを獲得しながらコースを進み、最終的にゴールを目指します。
PUBG MOBILEの要素を残しながら、オフロードレース、射撃、チーム競技を組み合わせたスポーツ型の競技に変更されていました。
2026年大会のPUBG MOBILEは通常のバトルロイヤル形式に
2026年の愛知・名古屋アジア大会では、PUBG MOBILE Asian Games Versionの競技形式が杭州大会から大きく変わりました。
2026年大会では12の国・地域が参加し、2日間で合計12マッチを実施。
各日6マッチずつ行われ、最初の4マッチはErangel、最後の2マッチはMiramarで競われました。順位ポイントと撃破ポイントを合算し、12マッチの累計得点で最終順位を決定する方式です。
大会の目的や開催時期、競技環境などに合わせて、ゲームモード・マップ・得点方式・使用可能な要素などが調整される場合があるようです。
過激な演出の制限やスポーツ性を重視した仕様変更の内容
過激な演出の制限やスポーツ性を重視した仕様変更の内容について紹介します。
アジア大会で特別仕様が採用される背景には、ゲームを国際的なスポーツ競技として成立させるという考え方があります。
一般的なゲームでは、作品の世界観やエンターテインメント性を重視した演出が含まれています。
一方、アジア大会では国や地域を代表する選手が参加し、競技として公平に勝敗を決める必要があります。
そのため、競技によっては通常版からゲーム内容を調整し、競技としての分かりやすさ、公平性、運営のしやすさ、スポーツマンシップなどを重視した設計が採用されます。
特に杭州大会のPUBG MOBILEでは、通常の銃撃戦を中心としたバトルロイヤルではなく、車両走行やターゲット射撃などを組み合わせた競技形式が採用されました。
AESFも、この仕様について「スカイダイビング」「オフロードレース」「射撃競技」など、実際のスポーツから着想を得た形式として説明しています。
ただし、「暴力表現をすべてなくすためにアジア大会版が作られている」と単純化するのは適切ではありません。
ゲームとしての魅力を残しながら、国際スポーツ大会として競技性を成立させることが、特別仕様の重要な目的の一つと考えられます。
特別仕様ルールが試合展開や選手の立ち回りに与える影響
🏆愛知・名古屋アジア大会/eスポーツ#第五人格 で🥈銀メダルを獲得した粟田選手、上仲選手、神谷選手、小沼選手、前田選手、上村選手、大山選手が #メダリストセレブレーション に参加しました
— 日本eスポーツ協会(JESU) (@JeSUofficial) October 1, 2026
応援ありがとうございました😊✨#TEAMJAPAN#ともに一歩踏み出す勇気を#愛知名古屋2026#OAW pic.twitter.com/h4UyyJBIec
特別仕様ルールが試合展開や選手の立ち回りに与える影響について紹介します。
ルールが変われば、当然ながら選手に求められる能力や戦術も変わります。
通常のeスポーツ大会では、普段のプロリーグや世界大会で使用されているルールを熟知していることが大きな強みになります。
しかし、アジア大会版では専用ルールが採用される場合があるため、選手は「普段のゲームが上手い」だけではなく、その大会専用の競技形式に適応する能力も求められます。
例えば杭州大会型のPUBG MOBILEであれば、敵チームを倒すことだけではなく、
・車両を正確に操作する能力
・チーム内での役割分担
・射撃ターゲットを狙う精度
・チェックポイントを通過する判断
・限られた時間の中での意思決定
などが重要になります。
2026年大会のPUBG MOBILEではバトルロイヤル形式が採用されたため、順位ポイントと撃破ポイントを12マッチにわたって積み上げる安定性が重要になりました。
1試合だけの爆発的な結果ではなく、ErangelとMiramarの両方で継続して得点する必要があります。
実際、2026年大会では12チームが12マッチを戦い、タイが128ポイントで金メダル、中国が114ポイントで銀メダル、パキスタンが100ポイントで銅メダルを獲得しました。
このように、ルール変更は単にゲーム画面や演出を変えるだけではなく、選手の立ち回り、チーム戦術、リスクの取り方まで変える可能性があります。
まとめ
アジア大会のeスポーツで採用される「Asian Games Version」は、通常版の単純なコピーではありません。
大会によっては、競技の公平性やスポーツ性を考慮して、専用サーバー、ゲームモード、マップ、得点方式、ゲーム内要素などが調整されます。
特にPUBG MOBILEでは、杭州大会で通常のバトルロイヤルとは異なる車両走行・ターゲット射撃型の競技が行われた一方、2026年の愛知・名古屋大会ではErangelとMiramarを使用したバトルロイヤル形式に変更されました。
そのため、「アジア大会版」という言葉だけで「通常版とは全く違うルール」と考えるのではなく、大会ごと・タイトルごとに、どの部分が変更されているのかを見ることが重要です。
2026年大会ではeスポーツが11種目で実施されており、今後もアジア大会がeスポーツをどのような形でスポーツ競技として発展させていくのかが注目されます。


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